主要な症状としては、抑うつ気分・興味関心の低下があり、初期症状の多くは、身体的症状(睡眠障害、倦怠感・疲労、便秘・下痢、体重減少、性欲低下、呼吸困難感、動悸、めまい、発汗、頭痛・頭重感など)であることが多くあります。
うつ病が重症化すると、妄想(根拠はないが訂正できない信念)が出現し「治らない病気にかかっている」などの心気妄想、「お金がないから生きていけない」などの貧困妄想、「取り返しのつかない過ちを犯した」などの罪業妄想などが現れることがあります。そのほか、「死にたくなる(自殺念慮)」などの心理的な症状が起こる場合があります。
上記の中で「ほとんど1日」「ほとんど毎日」「同じ2週間の間に存在」する症状が5つ以上あり、少なくとも1つは抑うつ気分、活動への興味・喜びの減退を含むこと、さらにはその症状が社会的な生活領域での機能障害を引き起こしていること、また、他の物質(薬物など)の生理的作用、医学的疾患でないことなどが診断の基準になります。
パニック症は繰り返される予期しないパニック発作を特徴とし、しばしば広場などを恐れて避けてしまうなどの行動を伴います。パニック発作の有病率は1%程度とされており、女性では男性の2倍程度多く、未治療の場合は慢性化し増悪したり軽快したりを繰り返すとされています。原因ははっきりとはわかっていませんが複数の遺伝子的な要因が関与していると考えられ、さらにストレス因が加わって発症する多因子疾患と考えられています。
上記の中で4つ以上の症状を伴うパニック発作が予期せず繰り返し(2回以上)起こるものとされています。さらに、これらの発作の一つにおいては「どうにかなってしまうのではないか」といった心配や、もしくは外出や公共交通機関の利用などを回避して発作を避けようとする行動の変化が1か月以上つづいている状態を指します。
社交不安症とは、人と交流する場面で人前で何等かの行為を行うとき(プレゼンテーションをする、授業で発表をするなど)に恥ずかしい思いをするのではないか、などの強い不安や恐怖を感じることで、仕事や学業・友人関係などの日常生活に差し支えが生じる精神疾患です。症状としては、極度の不安や恐怖感に加えて、自律神経症状(動悸、発汗、赤面、手足や声の震えなど)があります。ご本人の内面での感じ方なので周囲の人からは気づいてもらえないことも多くあります。さらに、引きこもった生活になると対人交流が制限され、その後の社会生活に問題が生じることもあり、症状が長期化することでほかの精神疾患、特にうつ病やアルコール使用障害などが併発するリスクが多くなります。
強迫症とは、「汚れが取れていないと感じて何回となく手洗いを繰り返す」「外出時など、鍵や火元を何度も確認するけれど不安がぬぐえない」「物の位置などをぴったりと揃えないと気が済まない」などの強迫症状が起こります。これにより、強い不安や苦痛を伴いそれらの行動に長い時間を費やすことで日常生活に強い影響が起こります。強迫症状は、繰り返し起こる強迫観念とそれを打ち消そうとする強迫行為とされています。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、危うく死ぬ、または重傷を負うような外傷的出来事を経験した後に生じる疾患です。症状としては、再体験(フラッシュバック、悪夢など)回避症状(できごとが発生した場所に行くことができないなど)認知と感情の否定的変化(「自分が悪い」「何も信用できない」)といった否定的な信念など 過覚醒症状(不眠、イライラなど)などがあります。
症状が起こる病因として、外傷的出来事の中で感じた恐怖や無力感が記憶として固定化されたり消化できずにいる状態が症状の病因に密接に関係していると考えられています。